>>> ヒトリゴト:小さな小学校
2013.03.29 updated.
息子の通う小学校は全校生徒40名ほどの小さな学校だ。私たちの住む那須町では小学校の統廃合が進められている。息子の通う学校も来年度1年で廃校となる。ここに引っ越して3年になるが、引っ越してくる前は東京の学校に通い、1クラス40名近くで1学年2~3クラスという大きな学校だった。なので、小さな学校の良さを実感し、満喫していたので、廃校と聞いて本当にショックだった。
引っ越してきたとき、子供たちの生き生きとした姿に驚いた。一人一人の個が立っていた。始業式の発表が一人一人非常にしっかりしていてまたびっくり。
授業中、ぼーっとしている子はいなくて、一人残らずちゃんと授業に参加している。分からないことがあれば、自由に質問し、まるで大学のゼミのようだ。だから、落ちこぼれる子供がいない。
小さい学校だから、地域住民や保護者がいろんな面でサポートしている。だから、農園活動も充実している。少人数なので、種から収穫まできっちり皆で育てることが出来る。
人数が少ないので、学年を超えて皆仲良く、皆で遊ぶ。自然に上の学年が下の学年の面倒をみている。この学校では全校で一輪車に取り組む。転校したてのころ、一輪車に苦戦していると、上の学年のお兄ちゃんがよく教えてくれていた。
年に1回の持久走大会のときの出来事。1人の女の子が大幅に遅れてしまった。グランドに近づいたところでほとんどの生徒がその子のもとへ駆けつけ、「がんばれ!あとちょっと!」と励まし、一緒に走った。初めその子は恥ずかしくなっちゃって途中で止めようとしたけれど、皆に励まされながら、最後まで皆と一緒に走りきった。ゴールしたときには全校生徒と保護者の歓声がワーっと湧き上がった。涙なくして見られない、語れない感動的なシーンだった。この学校に子供を通わせられて本当に良かったと思った。
この学校にはいい思い出が沢山ある。この環境が気に入っている。適正化と称し、この学校が不適正と言われることに、かなり抵抗がある。
1クラスの適正人数は30名という。私はそうは思わない。ここの子供たちは一人一人ちゃんと自分を持っている。皆が助け合っている。野球ができないということを非常に問題にしている人たちもいるが、野球には替えられない大事なことを子供たちは沢山経験することができたと思う。人間関係を学べないという人もいる。しかし、少人数の中にも人間関係はあり、しかも、少人数がゆえに逃げることはできないので、どんな人ともうまく付き合っていかざるを得ない。大人数よりもむしろシビアな状況だとおもう。だから、子供たちはどんな人でも仲間に入れ、仲良くやっていこうとする術を身に付けている。
海外や日本の一部でも、1クラスの人数を少人数にするという試みがなされているというのに、せっかくこんなにいい環境なのに、非常に残念でならない。子供たちは私達の社会の未来を担う存在。その教育はとても重要。軽視してはいけないと思う。勉強以上に、心の教育、自分の頭で考えることが出来る、正しい判断が自分でできる等、大切なことは多く、それらのことは、少人数だからこそ大切に育てられるような気がしている。日本の学校から良い環境の学校がまた1つなくなってしまう。
しかし、廃校はもう決まったこと。これからは、これを受け入れ、新しい学校に希望を持って、新しい学校生活をより良くするために何ができるのか、考えていかなければ。その前に、この廃校に対する想いを吐き出してみた。
取り留めのない長い文章にお付き合いいただいて、ありがとう。
(小島 美紀)