Album Story 4 of 6

ある日お金に困っていた時、彼女は路上で演奏をする音楽家や道化の姿を目にした。
そして彼女も、勇気を振り絞り、路上で踊り始めた。
生きるためには仕方ない。しかし一方で人前で踊る、踊ってお金をもらうなんて彼女にとっては不本意だった。それは恥ずべきことと教えられてきたからだった。
しかし、彼女のダンスに多くの人々が引き付けられた。人々の反応に彼女も驚いた。同時に踊りで表現することの楽しさを初めて感じた。

そんな旅の途中で、あるフィドラー(バイオリン弾き)の少年に出合った。

ある街の通りの一角で彼女が踊っている時、一人の少年が彼女の踊りを見ていた。
少年はおもむろに持っているフィドルを取り出し、彼女の踊りに合わせて演奏し始めた。とても驚いたが、なぜか心地よい。リズミカルな音に体が自然に動く。

以来、2人で旅をすることになった。ファーザー・ゴーシュの元に向かって。

少年はいつも自然体だった。背伸びすることも無く、いい子ぶったり悪ぶったり、とりつくろったりすることも無い。
心から音楽が好きで、ただただ音楽を楽しんでいるようだった。

イザベルはそんな少年の姿に驚くばかりだった。
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